『フィガロの結婚』 序曲

『フィガロの結婚』 「もう飛ぶまいぞこの蝶々」 1-9

もう飛べないぞ　愛の蝶々
夜も昼も飛び回り
女心を乱すのはおしまいだ
ナルシス　愛のアドニスよ

女心を乱すのはおしまいだ
ナルシス　愛のアドニスよ

羽飾りよ　さらば
粋な帽子よ　さらば
長い髪　上品な物腰
女のような紅とも　お別れだ

羽飾りよ　さらば
帽子　長い髪　上品な物腰　お別れだ

もう飛べないぞ　愛の蝶々
夜も昼も飛び回り
女心を乱すのはおしまいだ
ナルシス　愛のアドニスよ

女心を乱すのはおしまいだ
ナルシス　愛のアドニスよ

もう軍人だぞ！
口ひげと背のう
銃をかついで　サーベル腰に
背筋のばして　りりしい顔で
かぶとをかぶるか　ターバン巻くか
名誉は多いが
実入りは少ない

優美な足で
泥んこ道を行軍だ
山越え　谷越え
夏も冬も　ラッパに合わせ
銃声と砲声を友に　進むのだ

羽飾りよ　さらば
粋な帽子よ　さらば
長い髪　上品な物腰

もう飛べないぞ　愛の蝶々
夜も昼も飛び回り
女心を乱すのはおしまいだ
ナルシス　愛のアドニスよ

ケルビーノよ　勝利と
軍人の栄光をめざせ！

ケルビーノよ　勝利と
軍人の栄光をめざせ！

モーツァルト:歌劇 ≪フィガロの結婚≫
第1幕 第9曲 アリア「もう飛ぶまいぞこの蝶々」(フィガロ)

『フィガロの結婚』 「僕はもう自分が何か、どうすればよいか分からない」 1-6

自分で自分がわからない　心が燃えたり　凍ったりする
女性に会うと顔がほてり　どうきが高まる
愛という言葉を聞いただけで　胸が震える
恋を語りたくなるような
不思議な欲望が目覚める

自分で自分がわからない　心が燃えたり　凍ったりする
女性に会うと顔がほてり　どうきが高まる
女性に会うと　どうきが高まる

寝ても恋を語り
覚めても恋を語る
水に　影に　山に　花に　草に　泉に
こだまに　空気に　風に向かって
でも言葉はむなしく消えていく

寝ても覚めても　恋を語る
水に　影に　山に　花に　草に　泉に
こだまに　空気に　風に向かって
でも言葉はむなしく消えていく

誰も聞いてくれる人がいなければ
ぼくは自分に恋を語るだけ

モーツァルト:歌劇 ≪フィガロの結婚≫
第1幕 第6曲 アリア「僕はもう自分が何か、どうすればよいか分からない」(ケルビーノ)

『フィガロの結婚』「おいでなさい…跪いて…」 2-12

こちらでひざをついて
じっとするのよ
ここで動かないで
じっとするのよ

ゆっくり振り向いて
いいわ　上出来よ

今度はこちら
こっちを見るのよ！
まっすぐ！
まっすぐ　私を見なさい
奥様はあちらよ
今度はこちら
まっすぐ私を見るのよ！
奥様ではなくて

動かないで
さあ　どうぞ・・・
こっちを見て
お利口さん！
首をまっすぐ・・・
視線を落として・・・
両手は胸のところ・・・
今度は立って　歩いてみなくちゃ

小悪魔だわ　きれいな顔
あの目つき！　かわいい姿！
ごらんください
小悪魔のようにきれい！

女心をそそるのは　無理もない

ほんとに・・・　無理もない

ほんとに・・・　無理もない

モーツァルト:歌劇 ≪フィガロの結婚≫
第2幕 第12曲 アリア「おいでなさい…跪いて…」(スザンナ)

『フィガロの結婚』「恋とはどんなものかしら」 2-11

恋とは何かを知るご婦人方
ぼくは恋しているのですか？

ぼくの感覚をお話しします
初めての感覚で　わからないのです
何かしたくて　たまらない気持ち
それは喜びなのか　苦痛なのか

心は凍ったかと思うと　燃え上がり
またすぐに凍りつきます
幸せを求めますが
それはどこにある　何なのでしょう
口からため息とうめきが漏れ
なぜかどうきが高まり　震えます
心はいつも落ち着きません
でもそんな苦しみも・・・
また楽しいのです

さあ教えてください　恋を知るご婦人方
ぼくは恋しているのですか？

モーツァルト:歌劇 ≪フィガロの結婚≫
第2幕 第11曲 アリエッタ「恋とはどんなものかしら」(ケルビーノ)

『フィガロの結婚』「失くしてしまって…」 4-23

ないわ・・・　困った・・・

どこにあるのかしら・・・
どこに？
ないのよ
ないの・・・
なくしてしまった！

スザンナと　殿様に
きっとしかられるわ・・・

モーツァルト:歌劇 ≪フィガロの結婚≫
第4幕 第23曲 カヴァティーナ「失くしてしまって…」(バルバリーナ)